大御堂だより


観音経の功徳

お知らせ / 今日の一言 -

 坂東三十三観音霊場・第25番札所でもある大御堂のご本尊は千手観音菩薩様。

・・・「念彼観音力」・・・「念彼観音力」・・・

 真言宗豊山派の総本山、大和の長谷寺や大御堂の御本山、大本山護国寺では、毎日このようにお唱えする声が響き渡ります。
観音の力を念ずれば・・・観音の力を念ずれば・・・という言葉が何度も出て来るのです。例えば、「もし鋭い牙や爪を持った悪獣に囲まれても、観音の力を念ずれば、これらの悪獣はすばやくいずこともなく走り去るであろう。たとえだれかが殺害しようとの気持ちで、ある人を大きな火の穴に落しても、その人が観世音の力を念ずれば、火の穴は変じて池となってその人は助かるであろう。空が曇って雷が鳴り、稲妻が走り、雹(ひょう)が降り、大雨が降っても、観音の力を念ずれば、これらの悪い天候もおさまるであろう」・・・・・と書かれているのです。疑うことなく心から念じ、空しく過ごすことがなければ、その人はあらゆる苦しみを滅することが出来ると説いているのです。
観音経、正しくは『妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五』という名前のお経で、お釈迦さまの四十五年間の説法のうち、最後の八年間に説かれた法華経の二十八章の中の第二十五章という意味です。普門とはあまねく人々に開かれた救いの道、ということです。
 観音経が説いているのは、観音さまが世の人々を救うために三十三の姿に身を変えて、あらゆる人々にふさわしい姿で救いの手をさしのべてくれるということ、そしてまた人間は、常にあるがままの己が姿をよく観、よく聞くべきこと、独りよがりの生活を改め、心を開き、真実の世界の動静に耳を傾けるべきことなどです。
 そして、たえず私たちは火難、水難、風難、刀杖難、悪鬼難、枷鎖難(かさなん)、怨賊難(おんぞくなん)の七難に脅かされており、それ故に、常に観音の力を念じ、観音さまの名を唱え信じれば、威神力(いじんりき)によって七難からのがれ、恐れることなく人生を歩むことができると説かれているのです。
 また、このお経の偈文には、「慈眼をもって衆生を視る。福聚海のごとく無量なり」とあるように、観音さまを信仰し、観音さまのお名前を唱えれば物心両面にわたって幸せに恵まれることが説かれています。観音経は生きる勇気、智慧と慈悲を教えてくれる経典なのです。